WORKS

Symbol
シリーズ

2020年3月私は、イタリア、トリノでCovid(コロナウィルス)の影響で2ヶ月間のロックダウンを経験する事となった。

ほぼ、アトリエに籠る事しか出来なくなった状態ではあるが、当時の過酷な状況では、作品制作に集中する事も難しく作品を制作する事自体を自問自答することになった。

そのような状況の中で作品制作に向き合っていた時、この過酷な状態が終わった後の、希望と祈りをテーマに作品を制作しようと思い至った。

今までの私の作品制作の重要なテーマであるアイコンをより明確な形で使用する事で強く明確なメッセージ性のある作品制作となった。

アイコンをシンボルとして強調する為、多色を使用する事無く、ツートンカラーで作品制作を始めた事により限られた色とアイコンで表現される絵画は、よりシンプルな表現となり絵画の表面上だけの情報から得られるものだけではなく、鑑賞する人にそのシンボルから受ける多様な思いや記憶、イメージを広く喚起される作品になる事を目指した。

何度も絵の具を重ねて描き込んだ十字架や星のアイコンの上を削り取るように同色の絵の具を擦り付けその上に残った痕跡は、困難を経験した後に残る希望や祈りのシンボルである。今までに無い大変な経験をしたからこそ生まれた新シリーズ”Symbol”は、私の中で新たな一面を引き出した作品となった。